エリート上司の甘い誘惑
実はお酒は最初のビール一杯で、あとはチビチビ飲んでるフリだけをしていた。
だけど、暖房の効いた部屋と宴会のムードに酔ったのか、店の外に出た瞬間の空気の冷たさが心地よかった。


部長が来るだろう方角を見て、ぴき、と固まる。


「さよ」


気付かなかった。
園田が煙草を外に吸いに出ていたなんて。
即座にぐるんと回れ右して店内に戻ろうとしたが、その腕を掴まれてしまった。


「待てって!」

「いたっ!」


私を捕まえたまま、園田が吸いかけの煙草を待ち客用に備え付けられてあった灰皿に押し付ける。


「ちょっと。こんなとこ見られて困るのそっちでしょ?!」

「わかってるよだからこっち来い」


話が通じているようで、とても理不尽だ。
見られて困る彼の事情に私が付き合う義理はない。


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