クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!
初恋



【side 南夏】


──────3年前。


親の離婚がきっかけで、俺は学校に行かなくなり、毎日のように喧嘩をしていた。


まだあの頃は黒髪で。
身長も今より20センチも低くて。


きっと今の俺とは別人だっただろう。
だから、彼女も俺のことは覚えていなくて。


あの日。
他校のやつらの先輩が。
俺をあの公園で待ち伏せていて。


俺はすぐに倒れこむくらいボコボコに殴られたり蹴られたりした。


「粋がってんじゃねーぞ」


最後にはそう言われ唾を吐かれた。


両親も教師も。
大人はみんなだめなやつばかりだと。

だめなのは自分なのに。

そんな風に思っていた。


音楽や楓はずっと気にかけたくれていたのに。

「お前らに俺の気持ちはわからない」
なんて突き放して。


こんな自分勝手な俺のことを。

もう誰も。


助けてくれない。


このまま死んだ方が楽だ。


そんな風に思った時だった。


「……だ、大丈夫ですか?」


か細くて今にも消えそうな声が頭上から聞こえた。


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