課長の瞳で凍死します ~伊勢編~
 俺の目の前でやるなっ。

 やりたくなるだろうがっ。

 しかも、彼らから視線をそらして、窓の方を向くと、当たり前だが、真湖が居る。

 まだ熱いのか、ハンカチで包んでやった缶コーヒーを両手で持ち、少しずつ口をつけていた。

 沢田……。

 お前、これから先もそんなに可愛いのか。

 ずっと可愛いのか。

 永遠に可愛いのか。

 それとも、今だけなのかっ!?

 いや、可愛くていいんだがっ。

 こんなに可愛いのに、ずっと側に居られたら、落ち着かないじゃないかっ!
と怒ってもしょうがないことで腹を立てる。

 特に今、二人きりだしっ。

『いや、家でも、二人きりですよね』
という羽村のツッコミが聞こえ、

『新婚旅行だからいいんじゃないですか?』
とそっけなく言う三上の幻聴が聞こえ、

『新幹線、周り人が居るよー』
というなにも考えてなさそうな浩太郎の声が聞こえる気がした。
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