片想い卒業します

私はベンチに座りながら、あの日を思い出していた。


今から3年半前。


その日は梅雨の中休みで、蒸し暑い日だった。


当事、中学一年生だった私は、急いで家に帰るためにタンポポ公園の中へ入ると、ベンチに座っていた森山君に出くわしたんだ。


「……森山君だよね?」


言葉使いが乱暴で、取っつきにくい印象の彼。


「……ああ。杉本だっけ?」


「うん、そうだけど。森山君、その手に抱えているのは何?」


彼の手には茶色のフワフワとした固まりが見えていて、私は覗きこんだ。


「あ、これ?」


「うん」


「コイツ、親とはぐれたみたいでさ、ここでうずくまっててさ。カラスの餌になったら可哀相だから俺が保護したんだけど」


そう言いながら森山君は私にその固まりを見せてくれた。


「わあ、かわいい。子猫だぁ」


我が家にも「紅葉」と言う年老いた猫がいるから、猫の扱いは慣れてるんだ。

< 29 / 44 >

この作品をシェア

pagetop