片想い卒業します

「だって、森山君は彼女がいるんでしょ?」


「……彼女?……俺に?」


「うん」


面食らった顔をしている森山君は


「俺、好きな人ならいるけど、彼女なんて元からいねぇし……どこでそんな話が出てきたわけ?」


私に詰めよる森山君。


森山君、今は彼女がいないんだ。でも、好きな人はいるって言ってたよね?


そっかあ……好きな人がいるのかぁ。これじゃあ告白する前に失恋が確定しちゃったよ。


ショックを隠しきれない私は


「えっと、私も噂話で聞いただけだから……分からないんだ。ハハハ……」


ただ笑ってごまかすしかなかったんだ。


「まあ、俺はオマエに教えても特に問題ねぇから。スマホ出して」


「……はい」


お互いにスマホを差し出し、赤外線通信で番号を交換した。


「それで、俺に話があるんだろ?」


森山君がベンチに腰掛けながら聞いてきた。


そうだ!


私の方から呼び出して来てもらってたの、忘れてたよ。

< 34 / 44 >

この作品をシェア

pagetop