ドストライクの男
「光一郎さん、何処へ行くのですか!」
手を引かれ小鳥が連れてこられたのは51Fのスイートルーム。
光一郎が住処とする部屋だった。
「ごめん。今日はビックリさせたね」
ソファーに小鳥を座らせ、コーヒーを淹れながら光一郎が申し訳なさそうに謝る。
「婚約者のことですか?」
「ああ、本当はこんな風にばらすつもりなかったけど、アイツが出てきたから」
小さく舌打ちし、計画が台無しになった、と溜息を付き、コーヒーカップをローテーブルに置くと、小鳥の隣に座る。
「別に気にしておりません。父もあのような人なので、奇想天外なことには慣れています」
光一郎は、君もね、と心で呟き、口角を上げる。
「ちなみにですが、計画とはどのような?」
頭脳プレーのようなゲームが好きな小鳥の眼がキラリと煌く。
「婚約者と云うことを伏せ、君に近付き、僕を知ってもらい、好きになってもらおう作戦……ってとこかな」
小鳥はコーヒーカップを手にすると、なんだそんなこと、とカップに鼻を近付け、この香りはブルマンね、とブラックのまま飲む。