カラフルな日常
雨音



その日は雨が降っていた。




お前は雨が嫌いだ。




服は濡れるし、傘は持たなければいけない。

傘を持てば片手はふさがる。

傘を持たなければ整えた髪は崩れ、身体は凍える。

洗濯物は乾かない上、自転車は使えない。

バスや電車は混んでいて、無駄にストレスが溜まる。




天気は晴れず、心も踊らない。





しかし、雨はなければならない。


作物は育たないし、水不足にもなる。

この時期ともなれば、雨が降ることで気温が下がり過ごしやすくなりもする。




だが、お前は雨が嫌いだ。





お前の思い通りにならない雨が嫌いで嫌いで仕方ない。


雨なんて降らなければいいのにと心の底から望む。


お前はそう思いながら、自分の通う高校に向かう。






電車とバスを乗り継いで、ぎゅうぎゅうに押しつぶされながら。


サラリーマンの心ない物理的圧力にも耐えながら、四角い光る画面と向き合っている。

イヤホンからは少しでも心を晴らそうと自分の大好きな曲が溢れている。



空は見ない。



雨音は聞こえない。






そこにあるのは、



光る画面と、



ポップな音と、



圧力。




そこに心は、




ない。




continue.

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