17のとしに

夏祭り

 夏はイベントがたくさんある。夏休みを先頭に夏祭りだったり盆踊りだったり親戚や普段会えない人たちと会うことができたり。一般的な高校生はその1年に1度の時数となる授業がない暑い夏の日をそれぞれのしたいこと選んだことを存分にする。部活動も勉強もオープンキャンパスも就職活動も然りだ。

 8月2日、何とか17歳になった俺は特に祝われることもなくいつもの日常的な一日を送った。連絡を取らなかったわけではなかったが、至って平凡。たかが生まれた日から17年経過したというだけで俺にとっても家族にとってもさほど大事な日ではなかった。
 それよりも、今日8月3日の予定のほうが俺は楽しみだった。なぜならばまた5人で祭りを開催する会場へ向かうことができるからである。
 午後4時ごろ。リトと連絡を取り合い、コンビニ近くに集合ということで合意し徒歩で向かっていた。夏祭りの会場はコンビニから10分程度あるいた街の商店街で行われる。まだうちわは必要だが昼間ほど歩くはなくなった。祭りが本番になるころには涼しくなっているだろう。コンビニの方角へ向かうにつれ、次第に子供たちの声とか町内会であろうおじさんたちの笑い声とか、が聞こえてくる。すでに風船をもってかえる子もいる。空も青、赤が混ざり薄紫な色をグラグラと作っていた。いつになく季節を楽しみながら、コンビニへ向かうと、駐車場の隅っこにリトがいた。
 よくみても見なくてもいつも通りの無地のTシャツ。今日は明るい水色に下は学校指定の中長ズボンのジャージ。そしてサンダル。田舎の高校生代表という感じだ。
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