嵐王


『信じてる?信じろ?
そうやって言う奴程裏切るのよ!』


この場に居る事が耐えきれなくて
最後に言い捨てて屋敷を出た。


本当は「潔白だと思っている」と言われて
嬉しくなかった訳じゃない。

でも、私にとっては『朱雀』が全てだった。


ズキッ!


『痛っ!』


この傷が痛む度にあの光景を思い出す。


貴女達には分からない。

今まで信じてきた仲間に裏切られた事のない
貴女達に私の気持ちなんて分かる筈が。


『…分かる筈がないッ!』


そうやって自分に言い聞かせた。


< 93 / 523 >

この作品をシェア

pagetop