ここからはじまる恋
「明日、なにかあると言うわけでは、ないんだけれど……」

お父さんが、なんとなく言葉を濁した。

「やっぱり、気になるんでしょう?」

お母さんが、なにかを促すように言うと、お父さんの鋭い視線が、私をさした。

「……潜入してきてもらえないか?」

「潜入って? どこに?」

「天空デンタルクリニックだろ?」

ポカンと口を開ける私の隣で、由良がポツリとつぶやいた。

……え? お父さん、ホンキ?

「頼むよ。気になって眠れない」

眠れない……って。寝室から大音量のいびきが聞こえてきていましたが!?

「私が行ってもいいんだけれど、先生も若い女の子の方がいいでしょう?」

お母さんが、笑いながら言った。

「一度だけでいい。どんな雰囲気なのか、それだけでも知れたら……」

どうして私が……。そう思いながらも、お父さんの頼みは断れない。

「一度だけなら……」

まぁ、私も興味がないわけでもないし。……私、スパイになります……!






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