ここからはじまる恋

タイミング悪く、席へと案内された。このまま、ごまかされたら。本当のことはわからないまま終わりそう。

「お腹、空いたでしょう? 先に食べて、話は後からじっくりと」

空さんがそう言ってくれたから、安心して注文をした。

「ここのティラミス、おいしいですよ。お嫌いじゃなければ、食後に食べませんか?」

「大好きです!」

思わず、力が入ってしまい、くすっと笑われた。

「紗良さん、かわいい」

かわいい!? 空さん、どういうつもりで、こんなこと……。頬は真っ赤に染まるばかりだ。

そのうち、注文していたパスタが、テーブルを賑わせた。なるべく食べることに集中しなければ。おいしいパスタも喉を通らなくなってしまいそう。

「いただきます!」

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