メジャースプーンをあげよう

 切れ長で、少し垂れたような目。
 室内だからなのか、黒すぎる髪は緑がかってすら見えて美しい。
 すらっとはしていないけど、こちらに伸ばされた長くて節の目立つ指を綺麗だと思った。
 大きくて、少しだけ触れた手のあたたかさに頬が少し熱くなった。

 0.01秒前のそんな自分に言ってあげたい。

「先日頼んだときよりもほんの……ほんのわずかですが、冷めているように感じます」
「大変申し訳ありません。すぐに取り替えてまいります」
「いや結構。今日は社員のみで頂きますので」

 ―――直角に腰を折り曲げて、その相手に謝罪する羽目になるよと。


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