癒しの田中さんとカフェのまみちゃん
おせっかいな人たち~side Satoshi
「おい、悟、お前、
最近いいことがあったらしいじゃないか。」

「はぁ?」

突然の親父からの電話に戸惑った。
一体何を考えているんだか。

「中村さんから聞いたぞ。
お前にとって守りたい女性がいるんだってな。」

「何の話?俺が女性不信になっているって
親父だってわかっているじゃないか。」

「いやいや。中村さんからは
『この間、坊ちゃんがすごい形相で女の子を抱えて、
井口先生のところに行ったんですよ。』って聞いているんだけど」

「すごい形相かどうかはともかく、
女性を井口のところに連れていったのは事実だけど、
あれは人助けだ。
目の前で人が倒れたら、親父だって助けようとするだろう。」

「あぁ。俺なら救急車を呼んで、
あとはその人たちに頼むがな。
わざわざ、自分でどうにかしようとは思わないけど?」

まったく、半井さんだったらいちいち報告しそうだが、
まさか、中村さんがそんなにおしゃべりだったとは思わなかった。

「それで?」

「お前が、そんなに女性に熱くなるなんて、
もうないかもしれないからな。
このチャンスを逃すなと言っておきたくてな。」

「何かあれば、きちんと親父に報告するから、
とりあえずは放っておいてくれよ。」

「いい知らせ待っているぞ。」

親父は俺を茶化すかのように電話を切った。
それにしても中村さん、余計なことを…。

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