癒しの田中さんとカフェのまみちゃん
9月30日。
私はカフェでの仕事が早番だったので、一旦、アパートへ帰り、
着替えてからB.Cコンピュータへ向かった。
お約束の時間に受付へ行くと小林さんがすでにお待ちだった。

「いつもお世話になっております。
すみません。私、時間を間違えましたでしょうか。」

「いえ、そんなことはありません。お約束どおりです。
たまたま私がここでお迎えをしただけで…。」

「恐縮です。」

「なんとなく、白石さん、感じが違うと思ったら、
今日は眼鏡をしていらっしゃらないんですね。」

「はい。午前中、コンタクトレンズをしたまま出かけたもので、
そのままにしてしまいました。」

「いや、お似合いですよ。」

小林さんに言われて、思い出した。
B.Cコンピュータでは仕事の関係でデキル女をイメージして、
メタルフレームの眼鏡をいつもかけていたんだった。
スーツに気を配ってはいたが、
眼鏡のことなどすっかり忘れていた。まぁ、仕方がない。

「お上手ですね。」

愛想にそう返した。

「では、こちらへ。」

前回同様、社長室に通された。

「失礼いたします。白石様をお連れしました。」

小林さんはそう言って、私を案内してくれた。

「あぁ、入ってくれ。」

「失礼いたします。」

私は悟さん、いや、松浦社長に挨拶した。
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