自殺カタログ
「月乃安心して、あたしは芽衣だよ」


そう言うとようやく月乃は動きを止め、あたしと理央の顔をマジマジと見つめた。


「派手にやられたね」


あたしが言うと、月乃はゴクリと唾を飲み込んだ。


まだ体が震えている。


そうとう傷ついているようだ。


「もしかしてさ、龍輝にやられた?」


理央がはだけた胸元を指さしてそう聞いた。


瞬間、月乃はブラウスの前をかき合わせ、強く左右に首を振った。


「あぁ、アンミの前じゃさすがにやらないか」


理央がそう言い、笑い声を上げる。


「……写真、とられた」


月乃がか細い声でそう言った。


瞬間、更衣室で写真を撮られた時の光景が蘇ってきて、吐きそうになった。


「胸の?」


理央が聞く。


月乃は震えながら頷いた。


「顔がうつってなかったらそれでいいじゃん」


あたしはそう言ったが、すぐに思い直した。


アンミたちが胸だけの写真を撮るわけがないと。


顔だってちゃんと写っているに決まっている。


これから先月乃を脅し続けるために必要な道具なんだから。
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