自殺カタログ
ペン
アンミの亡霊なんて存在しない。


あれはメークをしたあたしと理央だった。


だけど2人はアンミの亡霊によって殺されてしまうんだ。


自分の部屋の中、あたしは登と涼太のサインが入ったハガキを前にしてそう思った。


アンミの亡霊によって殺されたように見せるためには、それなりの方法を選ぶ必要がった。


あたしは『自殺カタログ』のページをめくって行く。


アンミの亡霊と関連つけるための自殺方法を探しているのだが、なかなか見つからない。


「いっそ、自分で考えちゃえば?」


テーブルの前に座っていた理央がそう言った。


「そうだね」


あたしは頷く。


ハガキには自殺方法を記入する欄と、サイン欄。


そしてもう1つ、死に方を自分で考えて記入できる欄があった。


「ここに書けば、その自殺方法で死ねるってことなんだよね?」


あたしは誰ともなくそう聞きながら、ペンをとった。


今まで使った事がなかった記入欄。


これからも使う事はないだろうと思っていたけれど、どうやら初めて必要な時が来たみたいだ。
< 255 / 311 >

この作品をシェア

pagetop