ゆく年くる年きみのとなりで
 


「ううん、行きたい。また連れて行って」

ぎゅう、と彼の腕に抱きつくと、彼は笑って私の頭をなでてくれた。


ああ、嬉しい。すごく。
今、すごく、幸せだ。

彼の実家に行ったら、富士人さんにたくさんお礼を言おう。
そして、また年越し蕎麦を作ってくださいとお願いしよう。


鷹嗣の分と、


それから、私の分を。




『カウントダウンいきますよー! せーのっ! 10、9、8、7、……』


カウントダウンが始まり、私たちは腕を組んだままテレビに目を向ける。

来年は、どんな年になるだろう。
まだ何も約束はしていないけれど。
かたちあるものは、何もないけれど。

ゆっくりゆっくり、歩みを揃えて。
いちばん近くで、寄り添いあって。



『……3、2、1、――ハッピーニューイヤー!!』



――来年も、再来年も、その先もずっとずっと、こうして彼の隣で新しい日々を迎えられたらいい。


ステージ上では花火や金銀のテープが派手に打ち上げられ、盛り上がりは最高潮。
始まった新年一発目の人気曲とパフォーマンスに、会場からは割れんばかりの歓声が響く。

私たちは顔を寄せ、笑い合った。



「明けましておめでとう」

「今年も、よろしく」


また二人一緒に迎えられたね。

今年もきっと、良い年だ。







Best wishes for the New Year!

-END-


 
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