キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】

「どうですか、進捗は」


「皆細かい部分まで修正できてるしすごくいいよ。一番すごいのは自分もギターパートを覚えなきゃいけないのに他のパートにまで目を配ってる刹那君だ」


白石先輩はこっちに背中を向けてずっと指導している碧音君を見つめる。


「碧音君、時間を見つけてベースやドラムのことを星渚さんや皐月に聞いてアドバイスもらってるみたいで」


「midnightの紀藤さんと高瀬さんのことだよな？」


「はい。どういう教え方が分かりやすいか、とか」


昨日菜流が教えてくれた。


『最近刹那から星渚によく連絡がくるから気になって聞いてみたらコツを相手に分かりやすく教える方法はないかって。皐月にも同じこと聞いてるっぽいよー』と。


「明日歌」


「はい！何でしょう碧音君！」


「今から俺も入ってギター弾くから、聞いてて。白石先輩も、お願いします」


「任せて！」


「聞かせてもらうよ」


ついに碧音君も混ざるのか。もうギターパートを仕上げてきたってことだよね。


全員集中して美和ちゃんのカウントに耳を澄ませた。


「—―君と僕の世界は―—」