キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
碧音君の一声で今日の練習は終了。
美和ちゃんと先輩達はまだやることがあるからと残り、私と碧音君は先に学校を出た。
まだ太陽の位置は高くて明るい。文化祭が過ぎたらだんだん日が暮れるのも早くなるんだろうな。
「碧音君、練習お疲れ様!今日全員で合わせられてよかったね」
「本当はもっと早く合わせられればよかったけど」
「十分早いペースで仕上がってるよ。碧音先生の指導の賜物ですね」
「茶化すな」
「褒めてるんだよ」
影でずっと努力してる君を。
「あ、ちょっと待って」
「ん?」
碧音君はふいに立ち止まり、自販機に手を伸ばした。あ、そっか喉乾いたんだ。
多分碧音君はお茶買うだろうなー、なんて予想していたらガコン、と取り出し口から出てきたのは。
「碧音君、これ……」
「レモンスカッシュ。こういう味、好きなんだろ」
冷えたペットボトルを差し出される。