キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


「明日歌……っ」


ああ、私まで引き千切られるほど胸が痛い。碧音君が抱えてきたものを考えると、痛くて仕方ない。

立ち上がって、居場所を見つけて、どうにか自分の想いを伝えるために歌う。


「碧音君、頑張ったね。今まで、頑張ってきたんだね」


言えば、肩の震えが大きくなった。いいよ、泣いて。いくらでも、気が済むまで泣いたらいい。

薄っすらと空が藍色に染まり夜が顔を出し始めるなか、2人で静かに泣いた。


初めて、ちゃんと碧音君の心に、世界に。触れられた気がした。

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