キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】








練習室のドアを閉め『ドーリア、ドリアド~リア!』、訳の分かんねえ歌を口ずさみながらリビングへ向かう明日歌の後ろ姿を見つめる。


さっきのあれ、何なんだよ。鮮明に脳に焼き付いた映像を何度もリピート。あいつって……歌、上手かったのか。


驚きで一瞬間違えそうになっちまったじゃねえか。


気楽に力を抜いて歌ってたレベルであの上手さってことは、本気で歌えばそこら辺の下手なバンドのボーカルより上な気がする、まじで。


意外過ぎるだろ。変態女が、色気もねえあいつが。


……でも、何か。


どっかで聞いたことある気がすんだよなあ、あの歌声。似てるだけかもしれねえけどさ。


いや、んなわけねぇよな。俺の勘違いだ。


自分の脳内で完結させて騒がしいリビングに戻り、夕飯を食べたのだった。


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