朧咲夜ー番外篇ー【完】


そして、父は――事実上の伯父は、俺を跡継ぎにすると宣言したそうだ。


そんなことをすれば、そりゃ疑われる。


余程の間抜けでなければ、その意味を誤解などしてくれないさ。


俺の両親は、やはりただの馬鹿だったのだろうな。


母が、父親が誰かを言わなくても、憶測が流れ噂は立つ。


しかも、本家の跡取りだ。


基本は直系でつながれていくものだった。
 

まあ、俺も物心がつくどころか、乳飲み子の頃に母から――華取本家から離されたから、華取の家がどんなものだったのかは知らない。


兄の遺書が一枚あるだけだ。
 

一族に、家に火を放って焼き尽くした腹違いの兄。
 

俺にあてられたものだと、養子に出された先の両親から譲り受けた。
 

そこにあったのは、兄が華取を殺した理由。


なんでも、俺のことが疎かったとか、跡取りになりたかったから、とかではないらしい。
 

むしろ、華取を壊すことが兄の命の理由だった。

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