朧咲夜ー番外篇ー【完】


「あ……はい」
 

なにを考えるでもなく肯いてしまった。結婚、ゆびわ?

 
現実が咲桜に近づいてくる。
 

流夜に手を引かれて、小さなお店に入る。


「いらっしゃいませ」
 

丁寧に頭を下げたスーツ姿の細身の男性が、流夜を見て微笑んだ。


「お久しぶりでございます」


「お世話になります」
 

流夜が挨拶したので、咲桜も慌てて頭を下げた。


もしかして、以前に流夜が来たことを憶えている?


「三年ぶりでございましょうか」


「ええ。無事、また来ることが出来ました」


「と言うことは、今回は……」


「はい。今度は彼女に選んでもらおうと思いまして」
 

促されて、咲桜は一歩前に出た。


男性は柔らかい笑みを見せる。



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