朧咲夜ー番外篇ー【完】
「あ、あのね? 昨日夜々さんに聞いたんだけど」
「うん?」
「あ、赤ちゃんの名前」
「ああ。女の子ってわかってるんだもんな」
「私、嬉しくなっちゃって」
「なんて言うんだ?」
「あのね――――」
元気よく泣いている赤子を抱いた夜々子は、枕元の在義に頭を撫でられて、幸福そうな顔をしている。
病室に入って三人のその姿を見た咲桜は、それだけで泣き崩れてしまった。
流夜に支えられて、夜々子の傍まで歩く。
「咲桜ちゃん、流夜さん。あなたたちの妹よ」
気だるさを持った夜々子の声に、咲桜は泣いてしまいそうな口元を押さえて、何度も肯いた。
「二人から一文字ずつもらって、『流桜子(なおこ)』よ」