幾久しく、君を想って。
あれから一年以上が経った今、クラスメイトにも学校にも慣れている。

私の都合で何度か保育園を変わったり、学校も変わったりしてきた拓海に、幼い頃から気苦労を掛けてしまったな…と、親としては反省もしている。


「…そう、ならいいんだけど」


不安を感じることがあっても、この子の言うことを信じてやらないといけない。
拓海のことを信頼して、守ってやれる親も私だけしかいない。


二人だけの部屋に戻っても、別に甘える素振りも見せないでいる。
学校には学童保育もあるけど、実家の母が常に家に居るからいいと言い、利用も考えていない。


引っ越す前の学校では利用していた。
ギリギリ学校が終わる頃に仕事が済んでいたから、間に合わない時の為に…と思っていた。


何もかも実家を当てにする生活はしたくないけど、協力を仰がなければ、一人ではやはり子育ては難しい。


これが女の子だったら少しは違いがあるのかどうか。

もっと色々と話して、楽しく生活が出来るのだろうか。


父親が居れば変わるのか。

それでも拓海は変わらなくて、でも私には心の支えとなるのか。


居ない存在について考えても仕方のないことだけど、時にはやっぱり思いを巡らす。

拓海のことを思えば思うほど、これから先の為にも、父親という存在が必要になるのではないか…と思う。


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