切手に想いを添えて
これで高校の教師って言うんだから、生徒達が哀れでしょうがない。

てか、よくこのキツイ性格で先生になれたもんだよ。

しかも、優しい旦那さんと可愛い甥っ子ちゃんまでいて…

どうして私には彼氏もいないのか…
不思議なことこの上ない。





「言子ー、葉子ー、密子ー、お茶淹れたらちょっと休みなさーい!」



「「「 はーい! 」」」



隣の居間からお母さんの大きな声が飛んできて、私達も返事が届くように大きな声を飛ばす。



「効率良い仕事は適度な休息あってこそ。
さっ、葉子ちゃんもミッコちゃんも居間に行くわよ。」



ぽんと手を打った言子姉ちゃんに二人してお尻を叩かれ、居間に急かされる。



掃除していた部屋と同じく畳の居間には、中央にゆったりと10人は座れるローテーブルが鎮座していて、そこには既に湯気が立つコーヒーが置かれていた。



コーヒーが置かれた所に据わると、お母さんが小皿に乗った大福を置いてくれる。




おっ!これ、近所にある有名な和菓子屋、蓬屋(よもぎや)の大福じゃん!

大好物なんだよね!

そう言えば、お祖母ちゃんも好きだったな~
よく二人で買いに行ったっけ~





「どお?掃除終わりそう?」



「ミッコのせいで終わってない。」



こいつは、まだ言うか。



大口を開けてかぶりつくのを寸前で止め、葉子姉ちゃんに対峙すれば二人の間にバチバチと火花が散る。




「掃除するだけなのに、なんでこんなに時間掛かるかな~」




火花は散っても、確かにその通りなので、グーの音も出ない…



お祖母ちゃんの遺品整理は四十九日の後既に終わらせていて、今この家にあるのは壁にかけてある写真とこのテーブルくらいだろう。




「早めに大掃除来て本当良かった~
こんなんじゃ年開けちゃうわ。」



「今日はまだ12月3日です、け、ど?」



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