光ることを忘れた太陽。



《桜蘭side》




「桜蘭は、尚のこと好きだった?」


……好きだったよ、ちゃんと。


目を閉じれば今でも鮮明に思い出せる。



田代は、あたしと付き合って何を感じてた?


付き合ってるって言葉だけで、友達と変わらない関係。


そこから何も進展しないまま、あたし達は別れた。



この真実を伝えるなんて、許されないことだと思ってた。


でも咲希は受け入れてくれる?




────あたしと田代が付き合ったのは、あたしが失恋した日だった。



「あたしは、石塚が好きだったんだ」


入学してすぐ一目惚れした。


誰よりも努力して、いつも笑顔な石塚はみんなから慕われてて人気があった。



そんな石塚だから、きっと好きな人とも上手くいってるんだろうな。


そう思ってた。



石塚の恋が苦しいものじゃなくて、明るい恋だったらあたしも応援できてた。


でも、許せなかった。


彼氏がいる人を好きでいるなんて。
< 182 / 301 >

この作品をシェア

pagetop