溺愛妖狐ひろいました
「亜子!?」
仕事をもらっていた尊が、私の悲鳴に一目散に飛んでくる。
私は、喉から悲鳴にならない声を漏らしながら、手から滴るその液体を見つめた。
「な、なんだよそれ」
騒然となるフロア。
血の気が引いて、立っていられなくなって膝から崩れ落ちる。
「亜子!」
それを支えてくれたのは、尊だった。
私の身体は震えて、視界はグルグル回って。
気持ち悪い。
「う、・・・ぉえっ」
こみ上げてくる吐き気。
尊は私の背中をさすってくれた。
「なんだこれ・・・。絵具・・・?絵具にしても、悪質だろ・・・」
「亜子、しっかりして。亜子!」