溺愛妖狐ひろいました


「馬鹿でも風邪ひくんだな」


就業を終えて帰ろうとエレベーターから降りたところで出先から帰ってきたのだろう遊佐先輩と鉢合わせた。
その隣には金田先輩の姿も。
手にはコンビニの袋。
コンビニに行ってたのかな。


「こら、浩。ごめんな、こいつ口悪くて。いい奴なんだぞ、ほんとは」

「は、はい。大丈夫です」

「雨宮、風邪ひいたって聞いたけど、大丈夫か?」

「え・・・?」



金田先輩の言葉に目を見開く。
心配してくれてたの・・・?
嬉しい。



「あ、あの、ありがとうございます。でも、本当に大丈夫です」

「そうか?無理するなよ」

「ありがとうございます」



ああ、ダメだ。
先輩の優しさに触れると簡単に引き戻される。
こういう優しさを好きになった。

私なんかにも変わりなく優しくしてくれる。
そんな先輩を好きになったんだ。




「じゃあ、俺たち残業組だから行くな」

「あ、お疲れさまです。お先に失礼します」

「ん、お疲れー」



ヒラヒラと手を振って先輩たちは行った。
金田先輩と一緒だと、遊佐先輩もあまり絡んでこなかったな。
そう思いながら帰ろうと歩き出す。


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