溺愛妖狐ひろいました
脚立の一番上に立って手を伸ばしてもギリギリの場所。
それでも、なんとか手は届きゆっくり引き出していく。
153㎝の私。
こういう時少しだけ不便だ。
「よ、っと・・・あとちょっと・・・」
なんとか引き出すことに成功。
ゆっくりおろしていこうとしたその時。
「おま、なにやって・・・」
扉が開く音のあと、驚いたような声が聞こえた。
「え、わ、きゃあっ」
「は!?おい!」
突然の声にビクッとした私はバランスを崩し、真っ逆さま。
脚立が倒れる大きな音とダンボールの中身がばら撒かれる音が響き渡る。
「・・・う、」
思ったよりも痛みはなく落下する恐怖心でバクバクとうるさい心拍数。
「重いんだけど」
私の下から聞こえる声にハッとする。
「え、わっ!遊佐先輩!?」
私の下敷きになっていたのはまさかの遊佐先輩。
さっきの声の主って先輩だったの?
そして、もしかしなくても私のこと庇ってくれた・・・?