愛を込めて極北
撤退を決意
***


 一晩寝て、頭もさっぱり。


 予想外の告白を聞かされた時は、パニックで頭が回らなかったけれど。


 家に帰ってぐっすり眠り、朝目覚めると想像以上にすがすがしい気分だった。


 カーテンを開けて、朝日を浴びる。


 新しい一日が始まった。


 同時にこれは、私にとって新しい毎日の始まりだ。


 仕事に行く準備をしながら、あれこれ考える。


 次の土曜日には、久しぶりに美容室に出かけよう。


 また本格的に、テニスのほうも試合出場目指して頑張ろう。


 最近断りっぱなしだった飲み会にも、そろそろ参加しようかな。


 ここ数か月、全てが楠木中心に回っていた。


 事務所に通うスケジュールを中心に、日々の予定を組んでいた。


 そのため他の趣味や、別のジャンルの友達との交流はいささかおろそかに。


 これじゃいけないと反省し、以前の生活を取り戻すために努力しようと決めた。


 ごちゃごちゃした世界からは足を洗い、また昔のようなのんびりした毎日に戻ろう。
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