☆゚+. 〈BL〉隣人を愛す〈短編〉 ゚+.☆
最終手段を使わなきゃいけないみたいだ……〈side・晄慧〉
春休みも終わりに近づいてきた三月下旬。

未だに小絵とは平行線を辿っていた。

心羽に来てもらうしかないかもしれない……

春休みに入ってから三回、
小絵と会って“別れてくれ”と頼んだ。

何度も“好きな人がいる”と言っても
聞く耳を持たない。

本音を言えば、高校生の心羽を
連れて行くのは気が引ける。

だけど、今月は残り五日。

お互いの都合もある。

*:::*:::*:::*:::*:::*:::*

そうして、三月の最終日
小絵と心羽に俺の部屋来てもらった。

心羽ん家は隣だけどな(苦笑)

俺の隣に心羽、向かいに小絵。

『心羽、悪いな。
折角の休日に』

今日が土曜日でよかった……

『いえ、あの時言ったことは本心ですから』

テーブルの下で手握ってきた。

俺を自分のものにしたいとか
手握ってきたりとか本当に可愛すぎる~❢❢

『ありがとな』

俺も握り返した。

「晄慧の好きな人ってその子なわけ!?」

小絵の反応は想定内だ。

心羽は華奢だし
可愛らしい顔立ちをしているが“男”だ。

『そう、俺は隣にいる心羽を愛してる』

俺は心羽の袖を捲り腕にキスをした。

『晄慧さん、くすぐったいです』

俺の行動に小絵は目を見開いている(笑)

腕へのキスは“恋慕”

心羽を愛してるという証明。

『わかっただろう?』

本当は首や胸、そして唇にもキスをしたい。

小絵がいるから我慢しているが。

『悪いが俺はもう、
小絵を愛していないし愛せない』

変な期待をさせるより
はっきり言った方がいい。

小絵だって俺の
行動の意味くらいわかるだろうし。

「そう、晄慧の気持ちはわかった。
寂しいけれど、あんな風に
見せつけられたら諦めるしかないわね(苦笑)」

「今までありがとうね。
最後に一つだけ……
絶対にその子を離しちゃ駄目よ」

小絵は俺も心羽も咎めなかったな……

『こっちこそありがとな。
大丈夫だ、これが俺の最後の恋だから』

「よかったわ。
じゃぁね、学校では普通に話して」

『了解』

俺達は小絵を玄関まで見送った。

*:::*:::*:::*:::*:::*:::*

これでやっと心羽と付き合える。

『心羽、愛してる』

『僕も愛してます』
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