愛しの残念眼鏡王子
けれどこの人はそう思わないらしく、いつも私たちに用意してもらっていて申し訳ないからと、たまにこうして手伝いにやって来る。


でも正直、私は専務のこの善意の行動にとっても迷惑している。

それというのも……。


チラリと松田さんを見ると、なにやら企てている怪しい笑みを浮かべている。


これだけでもう予想できてしまう。
この先の展開が。


「でもせっかく専務が手伝いに来てくれたんだもんね。じゃあ年寄りは若いふたりにお願いしちゃおうかしら」

「…………えっ!?」


ワンテンポ遅れて専務がオーバーに反応すると、待ってましたと言わんばかりに松田さんは声を弾ませた。


「ふふふ、こうしてふたり並んでいると、夫婦みたいよね~! 新婚さん、先に工場へ行っているからよろしくね」

「なっ……! 松田さんっ!?」

からかい口調で去っていく松田さんに、期待通りの反応を見せる専務。
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