愛しの残念眼鏡王子
明日からの二連休で気持ちを切り替えよう。――そう意気込み、まずは帰宅後、ユウの散歩に出かけたけれど……。

考えてしまうのは、専務のことばかり。


先を急ぐユウに引っ張られていく中、おもむろに空を見上げてしまう。

辺りは薄暗くなってきた。夕陽も沈みかけている。


私……これからどうしたいのかな?

専務のことが好き。……その先の未来は?


今はこの気持ちを大切にしたいって思っていたけれど、そんな呑気に構えていいのかな?


だって専務はもう三十四歳。

いつ結婚してもいい年齢だよね。


ちょうど公園にさしかかり、中に入り自然と足は止まってしまう。

そのままゆっくりとブランコに腰を下ろした。


早く行こうと言わんばかりに急かしてくるユウに、「少しだけ」と声を掛け、空を見上げた。


この前言っていたように、専務がこの先もずっと独身でいるとは限らない。

もしかしたらいきなり運命の出会いを果たしちゃって、恋に落ちちゃう相手が現れるかもしれない。
< 79 / 111 >

この作品をシェア

pagetop