イジワルな彼とネガティブ彼女
そのあとの、診察代の支払いや調剤薬局での薬の受け取りまで、本田さんは全部やってくれて。


またタクシーに乗せられ、自宅へ戻った。


「腹の調子がいいなら、なんでもいいから食べたいものを言え」


というから、


「プリンが食べたいです」


と答えた。


「ちょっと待ってろ」


と、本田さんは部屋から出ていき、30分くらいしたらスーパーの袋を下げて帰ってきた。


「ほら、食え」


プリンとスプーンを渡された。


体を起こそうとする私を本田さんは支えてくれて、


「なんなら、食べさせてやろーか?」


意地悪な顔して言うから、


「結構です」


って、皮肉たっぷりに答えてあげた。


「おっ、おまえの『結構です』、ひさびさだな」


本田さんが、目の前で笑っている。


プリンをなんとか食べて、イオン飲料を飲み、処方された薬を飲んだ。


「そばにいるから、少し寝ろ」


本田さんの言葉に、なんとか反応した。



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