イジワルな彼とネガティブ彼女
そんなはずなかった。


たぶん、あの本田さんが、お詫びのつもりかなにかで譲ったに違いない。


なんで、そんなおこぼれみたいに譲られなきゃいけないんだ。


情けなくて恥ずかしくて、怒りがフツフツとこみあげてきた。


「高橋さん?」


「あ、足立くん、おかえりなさい」


足立くん、私の顔を見て驚いて、思わず声をかけたんだろう。


「どうかしましたか?」


「うん、うちの製品が2つ採用になったんだって」


「すごいじゃないですか、お祝いしましょうよ!」


「すごくないよ、SFYに譲られたんだもん」


「そんなことないです、高橋さんのプレゼンが良かったんです。


それより、今夜お祝いしませんか?」


「ごめんね、今夜は都合が悪くて」


「もしかして、さっきのイケメンと約束ですか?」


「それはないない、歯医者に行かなきゃならないんだ」








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