イジワルな彼とネガティブ彼女
美和は、ものすごい大きなため息をついて、話し出した。


「羽を伸ばす絶好の機会じゃない。


海外っていう開放感もあるし、もしかしたら元カノとかいるかもしれないし。


私だったら心配で不安で、行ってほしくないって思うけど」


「聞いてないけど、もしかしたらそうかもしれない。


でも、私とつきあう前から決まってたことだし、恒例行事みたいだし。


全然気にならないんだよね」


「莉子は、まだ嫉妬する気持ちがわかんないのかもね。


好きになれば好きになるほど、ヤキモチやいたり不安になったり、自分でもコントロールできないモヤモヤした気持ちになっちゃうんだよ」



恋愛経験豊富な美和が言うんだから、正しいんだと思う。


きっと、世間一般の女子はたいてい、そう思うんだろう。


だけど私は、楓さんに旅行のことを切り出されても、


「そうなんだ、気をつけてね」


と素直な気持ちのまま言っただけだった。


いま思えば、楓さんは少し拍子抜けしたような顔をしていた気もする。


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