イジワルな彼とネガティブ彼女
私は、つたない言葉で話し続けた。


初めて行った合コンで、だまされたこと。


それ以来、極度の男性不信になって、誰ともつきあったことがないこと。


「だから、つきあうってことが、よくわからないんだ」


「そうだったんだ」


「ごめんね、世間知らずで。


こんなこと言われても、困るだけだよね」


「じゃあ、莉子さんの最初の彼氏が、俺ってことだよね?」


「そうなる、よね・・・」


「すごく嬉しい」


足立くんは、私のことを優しく抱きしめた。


「ゆっくりでいいから、俺のこと好きになって」


「は、はい」


私は、冷静になろうと頭をフル回転させて、『今されていることは、海外では当たり前のハグだ』と、自分に言い聞かせた。


「莉子さん」


耳元で名前をささやかれるだけで、ドキドキする。


「俺のことも、名前で呼んで」


「えっ?」


それは、かなりハードル高いんですけど。


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