イジワルな彼とネガティブ彼女
「莉子さん、キスも初めて?」


「彼氏がいなくてキス経験あり、っていうのは変なんだけど、例の合コンの時に王様ゲームでキスさせられた」


「学生の時は?」


「私は、中学から大学まで女子校だったから」


そこで翼くんはなぜか、真剣な顔になった。


「莉子さん、キスしていい?


俺とのキスしか、思い出せないようにしたい」


つきあうことになって、いきなりキスって、あり得る?


心臓が口から飛び出そう。


だけど、イヤな思い出を、断ち切りたい。


だから私は、返事をする代わりに、瞳を閉じた。


翼くんの顔が、近づいてきてる気配がする。


翼くんの手が、私の頬にそっとふれる。


そして、唇にやわらかくてあったかい感触を感じた。


その感触は、何度か繰り返されて。


体の力が抜けてしまうほど、心地よかった。






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