待ち人来たらずは恋のきざし

ボーッとした。
身体は久し振りの事に怠い。怠くて堪らないじゃない。…馬鹿。
時間の経過もよく解らなくなった。

夜、お風呂上がりに食べていたアイスクリーム。
昼間だけど、食べた。
…冷たい。…味がしない。同じアイスなの?製造工程に何か違いでもあるんじゃないの?

…そんな訳無い。
どうしてくれるのよ、この何とも言えない孤独感みたいなモノ。
シて居なくなった責任くらい取りなさいよね…。
ちょっとくらい一緒の時間を過ごしてくれたって良かったと思うんだけど。

帰ったって事は当たり前に仕事があったからだ、多分。そうに違いない。
ギリギリまで居てくれたんだと思う事にする。そう思いたい。

…休めるのかって言ったのは、身体を休められるから良かったなって事だったかも知れない。そう思う事にする。

よく解らないけど、考えてみたらそういう男のような気がする。
…全部が虚しい想像だけどね。
本当…まだ何も、確かなモノが解らない。

人の事は言えないが…あの男は…ドライなのかな。
積極的なくせに…。情熱は内に秘めているのかな。

私の本当の待ち人になったんだから、もうそれでいいじゃないかって、考えかな。
女性の扱いみたいなモノは出来る男みたいだし。
…こうしておけばいいだろう的な、付け焼き刃のような言動でも無いと思う。
いつも自然な感じはした。だから、基本は気遣いの出来る優しい男だと思う。
お試しと言い出したのはあの男だから、攻めて来ていたのは向こうからだ、それは間違いない。
私はその行動のほぼ受け身で翻弄されていた。…受け入れた。
…その上での今だ。

確かに、上手く気を惹かれた気はする。
心配させられて…気になるって、やっぱり好きって事なのかな。
もしかして、早くも冷却期間を設けられたのかな…。
こんな出会いだから、一気に熱を帯びたモノは、本物なのかって。
だから、恋しくなって、会いたくなったら本物だって。
それを確認させる為?

…はぁ、さっぱりだわ。
恋に堕ちる瞬間を脳が忘れてしまったのかな。
完全な好きって、どんな感覚だったっけ。
もう少し様子をみたら、この孤独感みたいなモノが何かって、解って来るのかな。
…若く無いと、好きも少し違ってくるのかな。

急に三十後半になった訳じゃないけど、途中、恋をして来なかった…。
徐々に変化したであろう恋愛に対する思いが、カットされてる…抜け落ちている。
あの男に、堪らなく会いたくなるのかな。
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