待ち人来たらずは恋のきざし
・結果は初めから出てる


「私ね、ちょっとだけ解った事があるんです」

「ん」

「暫く連絡しないで会わなかったけど、平気だったんです」

…。

「あ、待って、それはね、誤解しないでくださいね。
どうでもいいんじゃなくて、安心があったからなんです」

「ん…」

今は移動して浴槽の中に居た。
お湯から出ている肩に男が後ろからお湯を掛けてくれていた。
程々に掛けるとまた直ぐ抱きしめられた。
前に回された腕がちょっと…場所が…、なんだけど。

「…あ、…それで。
連絡先は解ってるし、貴方が病気とかで来ないんじゃないかとか、心配が無くなったでしょ?
勿論、本当に具合が悪くなった時は連絡くれるでしょ?
だから安心して独りでも居られたんです」

「一度も会いたいとか、思わなかったんだ」

「貴方は?」

「俺が先に聞いてる」

「試されてるのかもと思ったの。
だから、貴方から連絡が無いのは、わざと恋しくさせてるんじゃ無いかと、思ってしまったの」

「じゃあ会いたくても我慢してたって事か」

肩に顎を乗せ、頷いたり首を振ったりしてグリグリする。

「あ、…ちょっと…」

「マッサージ」

「…もう、くすぐったいから、…もう。
えっと、それが、…我慢とかって言われると正直解らなくなりました。
私って、好きな人でも四六時中一緒に居なくても平気なのかも知れないと思って。
37まで独りで暮らして来たから、慣れ過ぎたのかも知れないです独りに。
時々一緒に居るくらいが丁度いいのかも知れないって、思ってしまったかも。
あ、でも、気持ちはあるんです。
そんなのは駄目?
貴方とは合わない?」

ちょっとだけ首を振って後ろを見て、直ぐ戻した…。

「俺は、景衣に会いたかった。…会いたくて堪らなかったよ。
正直、俺は我慢したんだ。
俺から連絡しなかったのは、試したとか、焦らしたとか、そんなんじゃ無かったんだ。
景衣と初めてシて、帰った。
そんな日から会って無いんだ。
尋常じゃ無く会いたかったよ、会いたいに決まってる」

じゃあ、そんな情熱があっても、連絡も、来なかったのも、何故?

「…ただ好きなだけじゃ駄目だと思ったんだ。
今日の事があるから、言っても信憑性が無くなったかも知れないけど。
心を交わして、同じようにここに来続けていたら、今の俺は、きっとやりたいだけになるかも知れないと思った。
景衣が好きだからな。
それでいいと言えばそれもいいんだ。
勿論それだけじゃない。
だけど、来たい時…来られる時に来てシていたら、都合のいい関係で終わってしまうかも知れないと思った。
そう思ったら、一度きりの男と女の関係と変わらないように思えて来たんだ。
俺は…そんなんじゃないからな?
だから、こんなのもう嫌、もういいって、景衣に愛想尽かしをくらうんじゃないかって…。
凄く矛盾はしているんだ…。
こうして景衣に会ったら、理屈抜きでやっぱりシたい。
でも都合のいいセフレみたいなのとは違うんだ。それは絶対違うからな」
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