空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
「できるかも」


昴がぽつりと言った。


「え?」


「今年の星空のプラネタリウム。設計図を作っておいたはずなんだ」


昴はそううなずくと、私にスマホのグループトークを開くように言った。


「ほら、このグループトークのアルバムのところに、写真で撮って保存しといた」


「あ」


こんなのあったんだ。


みんなで撮った写真とかがたくさんあったから、それに埋もれて気付かなかった。


「設計図があれば梨沙でも作れるだろ。分からないところがあったら俺が教えるから」


「うん、やってみる」


そう返事をして、ミニプラネタリウム作りを始める。


基本的なやり方は、去年やったからだいたいは分かっていた。


「あれ、これ、なに?」


「ん?」


「ほら、設計図のここ。何か印がついてる。別に、有名な星とかじゃないよね?」


昴の影響で、私も少しは星について詳しくなっていた。


確かここの辺りには、めぼしい星はなかったはずだ。


「ん、あー、これは……」


「?」


歯切れが悪い。


これは何か隠している時の昴の態度だ。


「うう、記憶が……」


「都合のいい記憶喪失なんだから」


「い、いいだろ。それよりほら、作るなら材料を準備しねーと」


「あ、ごまかした」


「ごまかしてない。で、作るのか、作らないのか?」


そんなことを話して、笑い合う。



うん、やっぱり昴といっしょにいる時が、一番、ドキドキする。


昴は、一年前と何も変わらない。


たとえ幽霊でも。


触れ合うことができなくても。


こうして昴と同じ時間を過ごすことができるのなら、それでもいいかもしれないと思ってしまった。


決意が、少しだけ揺らいでしまった。







――そんなはず、なかったのに。
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