この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。
*Chapter4*

Episode10:生きる理由

【美羽side】


***


夏休みに入った7月下旬。

朝起きると気分悪くて起きられず、そのまま眠ってしまうことが多かった棗くん。

受診に、付き添った時、最近ご飯もあまり食べれていないのに、体重だけが増えることを告げた。


検査すると、腹水が溜まっているとのことだった。


「おはよ……う、美羽」

「棗くんっ、おはよう!!」


私は、こうして棗くんの目が覚めることが本当に嬉しい。

いつも、不安になりながら朝を迎えた。

その代わり、棗くんが朝、おはようと言ってくれる日は、嬉しくて堪らないんだ。


不安と幸せが隣合わせの毎日。

それでも、棗くんの傍で支えることを決めた。


「今日はね、さっぱりした豚しゃぶとキュウリの和え物だよ」

「うん、美味しそうだなぁ」


嬉しそうに笑う棗くんの笑顔を目に焼き付けるように見つめる。

食欲の落ちた棗くんが、食べやすい料理を作るように、最近は心がけていた。

気に入ってもらえるといいんだけど……。


< 187 / 223 >

この作品をシェア

pagetop