大阪感情線
それからは毎日が戦争になった。



傍から見れば、少々手のかかる後輩の教育係でしかない。






けれど、実情はそんなに甘くはない。
何と言えば伝わるだろうか?

『女王さま』業とワガママ王子様の『お目付け役』兼『指南役』業を兼任しているというのがふさわしいかもしれない。



この捨てネコは単なる『捨て猫』ではなかった。
顔こそ整っているが、今までどれほど甘やかされていたのか、なにをやらせても満足に出来た試しがない。

インスタントラーメン一杯まともに作れないざまだ。



これでペルシャ猫のようにプライドが高く、ソファーで大きくなって昼寝するようなタイプなら、課長に辞表を突き付けてでも、この難役を逃れるのだが…




どちらかといえば茶色と白で「トラ」と呼ばれる類の人懐っこい性質だから質が悪い。

ついつい戯れられると、ほっておけなくなってしまうのだ。
後で自分の首を絞めることになると知りながらも…。




それまで会社内での私のイメージはパンツスーツにピンヒール。髪はきれいにアップして、非常事態にも冷静に対応できるキャリアウーマンで通っていた。

自分でもそのポジションが気に入っていたし、逆に周りからそう見られれば見られるほど、周りが抱くイメージに近づく努力をした。

それがキツイなんて思ったことはなかった。

そんな私のポジションが、音を立てて崩れていくようだ。




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