お前なんて好きじゃねぇし。
見えない感情
「咲姫、由良と何かあった?」
「……え?」
「最近、しゃべってなくない?」
授業の合間の休み時間、自分の席で外をボーっと眺めていたら明奈に話しかけられる。
そちらに顔を向けると、あまり浮かない顔というか微妙な表情をしていた。
「由良なんて授業以外、席に来ないし」
「……由良は私のこと嫌いだから」
「え?は?
それはないでしょ」
「これが証拠だよ」
「いやでも……」
明奈は私たちが全く話さなくなったことを心配してくれているみたい。
由良と言い合ったあの日から数日。
私は一言も話した記憶がない。