お前なんて好きじゃねぇし。
「じゃあ先に帰りな。
俺、教室に忘れ物したから」
「みっくんありがとう。
嬉しかったよ」
「うん。
でもこれでギクシャクするのとか嫌だから、明日からまた仲良くして」
「当たり前だよ」
笑いかけると、みっくんは唇を噛みしめる。
そして私の手首を掴んで引っ張った。
前と同じように抱きしめられている。
「みっくん?」
「これで、最後だから。
もうしないから、いまだけ……」
大好きなお兄ちゃんは、お兄ちゃんじゃなくて1人の男の子。
みっくんの震える背中にそっと手を回して抱きしめ返した。
ありがとう。
また、心の中でお礼を言って目を閉じた。
瞼の裏にはあいつの顔が浮かんでいた。