離婚前提策略婚。【改訂版】
「前々から考えていた。次期社長ともあろう男が馬鹿みたく女遊びばかりしおって。無理矢理にでも結婚させればあいつも少しは落ち着くだろう」

「…そ、それって逆効果になりませんか?ふ、不倫でもされたら余計会社の名前に傷が…」

「あいつが不倫をしないような女と結婚させればいい」

「え?どんな…」

「非の打ち所が全くない女だ。それなら龍成も文句が言えんだろう」

「そんな女性、いらっしゃるんですか?」

「……桜庭の娘、以前パーティーで挨拶をしたが、あの娘はまさしくそれだ」

「桜庭さんって、流通部の…」

「ああ、お前も会っただろう。大和撫子という言葉がぴったりな素晴らしい娘だ」

「…たしかにお綺麗で品がある方でしたけど、あちらにもご都合が…」

「それはお前が確認しろ。俺はこれから来客がある」

「ええっ!?わたしが!?」

「早急に頼む。これ以上のマスコミ沙汰は許されない」

「あ、あなた…」


麻友の声は届かず、龍一は社長室から足早に出て行く。
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