離婚前提策略婚。【改訂版】
「本来なら入社もなかったことにしたいが、社員に挨拶を済ませてしまったから仕方がない。だが入籍だけは誰にも知られてはならない。桜庭にも他言はするなと伝えておけ」

「ですが…」

「俺が出張から戻るまでお前がしっかり見張っておけ。なにか怪しい動きがあれば逐一報告しろ。これ以上は一つでも問題を起こされてはならない」

「……はい……」

「不祥事を待っている奴らがいるんだ。それこそ龍成の行動が奴らに見張られている可能性がある。特に社内報が出回るとその可能性も大きくなる。何が何でも俺は出張を早く終わらせる。それまではお前があいつを管理しろ」

「…かしこまりました」

「仕事に戻る。お前はあいつの相手だ」

「…はい。行ってらっしゃいませ」


龍一が出て行き、部屋はしんと静まり返る。


麻友はこれからどうするべきかをただ茫然と考えていた。
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