離婚前提策略婚。【改訂版】
悪戦の始まり

知り始める龍成

いい加減自覚しただろ、自分の気持ちを。

これでもわからなかったら本当にただの馬鹿だ。


小さくため息をつき、ベッドに仰向けに寝そべりながら、華乃を抱きしめていた手を見つめる。

抱きしめていた感覚を思い返す。


…なんか違うんだよな。今までの女と何かが違う。


抱きしめるのなんて流れで何の気もなしにしていたし、女が求めるタイミングをそれとなく読み取れたからするだけで、特に感情はなかった。


さっきは華乃の鈍感さにイラついてしちまったけど、 抱きしめた手をすぐに離すことが出来なかった。

あんなに長く抱きしめる必要なんてなかったのに。


……俺、なにやってんだよ。


可愛い真奈美ちゃんの手は自分から離しといて、華乃からは自分の手が離せないなんて。

自分でもわからないくらい疲れが溜まってんだろうな、きっと。


あいつ、明日からどんな態度をするだろう。

普通にできるか?できたらたいしたもんだ。いや、明日の前に今だ。


これまでは何事もなくベッドで一緒に寝ていた。

今日この状態で同じベッドになんて寝れるか?
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