離婚前提策略婚。【改訂版】
「なんだ、まだ考えていないのか?」

「──あ?ま、まぁな。新婚生活楽しみたいんだよ」


マジで何考えてんだよ。

あれだけ華乃との結婚に否定的だったくせに孫って、豹変しすぎだろ。


親父の考えが変わるわけがない。何を企んでの発言なんだ。


「お前には期待できんが孫には期待しているからな」

「おい」

「とにかく専務がどういう手を使ってくるかわからん。何にでも慎重に注意しろ」

「はいはい」

「──代表、橘常務からお電話です」

「ああ。監査役には連絡がついたか?」

「ええ、申し分なく」


親父が電話を始め、俺はまた机に向かった。

資料を手に取り読んでいるふりをしながら、思考は別の所へ飛んでいた。


あまりに機嫌のいい親父。

専務や俺、そして結婚にイラついているはずなのに、どうしてこうも普段に比べて愛想がいいんだ。
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